笑顔の理由。。。

2008.08.28 *Thu*日々の出来事
ここ数日、朝起きた時おしっこが漏れている。
それもそのはず、夜は8時から9時の間にはお布団に入り
翌朝10時半から11時まで、お布団の中にいるのだから
14.5時間のおしっこを、紙おむつ1枚でカバーできるわけがない。
たぶん起きた時に出るおしっこが、漏れ出してしまうのだろうと思う。

だけど今の生活パターンを変えることも出来ないんだよな。
とにかく起きてくると目が離せない。
やるべきことは指示を出さないと出来ないし、やってはいけないことやられたら困ることは
せっせと働いてくれるので、余計な手間が増えたりするし
人間の本能だとは思うけど、立ち上がろうとすることもあるので
一人にしておくことが出来ない。
銀行や主人の仕事の関係で出かけなくてはいけないときは
午前8時半過ぎには出かけて、10時までに用事を済ませ
トレッサ10時の開店と同時に買い物を済ませてから、義弟を起こすしか方法がない。

最近テレビのことも時々思い出すらしいけど

「洗面所に行きましょう」
「リビングに出て来ましょう」

などなどで移動させる時は、わんこの毛を拾ったり、絨毯をいじってたりと
寄り道が多くて、なかなか移動してこない義弟だけど
テレビを見たいと思ったときの行動は、想像以上に早い。
そろそろ食事が終っただろうと様子を見れば、いつもの場所におらず
テレビのコンセント探してて、関係のないコンセントのコードを引っ張り出したりしている。
義弟の状態が悪くなる前に、テレビのコンセントは隠してあってそのままになっているので
コンセントのある場所を知らない義弟だけど、こういうのを探す時の執着心はすごい。
普段持てないし自分からは持たない重さの物でも、自分で移動して探す。
結果としては見つけることが出来ず、テレビを見る前に私に見つかって怒られるのだけど
この後片付けがまた大変なことになる。
テレビボードの裏に隠してあるコードを、適当に引っ張り出すし
そこに置いてある物は、これまた適当に移動しちゃうし
で、怒られるとすべて放置して、その場に座り込んで汽笛が鳴り始めて
いつもの場所に戻るように言っても、寄り道は多いし固まるしでなかなか進まない。

「テレビを見ても良い時は、私がコンセントを入れます。勝手にテレビは見れません」

これも何度も言ってるけど、見たいと思ったら見たいだけだし
監視がなければ動きだしちゃうのだから、しょうがない。
タバコもそうだけど、テレビも見せたりすれば、やらなくていけないことはやらずに
タバコならいつまでもタバコを吸ってボーッとしてるし、テレビなんか見せたら
髭剃りもハミガキもしなくなっちゃうし、夜は夜でいつまでも起きてることになる。

「ハミガキが終ったら、テレビを点けてもいいよ」
「寝る準備が8時半前に終れば、少しならいいよ」

と言うのだけど、それらが終るころには、今度は眠気に襲われてテレビのことは忘れる。
タバコのことも時々思い出しては言うのだけど、思い出すタイミングが悪い。
この前も夕食が終った義弟に、寝る準備をするように言ってお風呂に入った。
主人がビールを取りにくると、義弟が言ったらしい。

「兄貴、ダバコほしいんだけど」
「タバコじゃねえよ。寝る準備しろって言われたんだろ。それが終ってからだ」

主人もそう言ってくれたそうで、寝る準備が終ったころにはもう寝る時間となり
そのままお布団に入るように言えば、5分後には口を開けて寝ている。
タバコに関してはもう2週間吸ってないのだけど、本人はわかってないと思うし
このまま禁煙に持ち込みたいところ。

1週間以上排便のなかった義弟。
便が固まって腸閉塞を起こしても困るので、便秘薬としてもらっていた
『酸化マグネシウム』を飲ませようと思って、用意をしていた月曜日
義弟自身も排便してないことに気が付いたらしく、朝起きてすぐにトイレに入って
1時間近く出てこなかった。

「便が出ない」
「身体を動かしてないからだよ。今日からカマを飲んで、水分もたくさん摂ること」
「は〜い」

が気になりだすと、ずっと気になる義弟は、普段ほとんどトイレに行かないけど
この日は、日中3回ほどトイレに行っては、1時間近くこもっていた。
夕食が終った後も、1時間近くトイレにいた義弟。
時間はもう8時を過ぎていて、主人が様子を看に行くとトイレから出るところだった。
匂いはしないと言ってたけど、どうやらこのときに排便があったらしい。
主人の夕飯の支度をしながら、義弟にパジャマに着替えるよう何度も声かけをしてたのだけど
なかなか先に進まず、支度が終ったら、介助してしまおうと思っていたら
主人が義弟に声をかけ始めた。

「いつまでも余計なことしてねえで、さっさと着替えろよ」

最初は声かけをしてたのだけど、いつものように返事だけで動かない。

「やっちゃった方が早いから、私がやるからいいよ」

と言ってたのだけど、翌日も1時起床の主人は、義弟がお布団に入らないと
私も休めないことをわかっているので、イラついて怒鳴るように声かけをしていた。
その途中、トイレに入った主人が

「便座カバーが汚れてるぞ」

一瞬血に見えた主人は、私か彩佳が生理中だと思ったらしい。
けど彩佳は夕方から泊まりに出かけていないし、私でもない。
ちょっとイヤな予感がして、もしかしてと思っていたら

「お前、またク○漏らしてるじゃねえか!」

と主人の怒鳴り声は聞こえた。
大量ではなく少量だったので、あの強烈な匂いもなく気が付かなかったのだけど
私がトイレの片づけをしてる間に、主人が義弟の介助を始め
おむつを脱がせて気が付いたようだった。

「風呂に行くんだよ。ケツが汚れてるじゃねえか」

スッポンポンの義弟を、主人が脇の下を支えて移動させお風呂に放り込んだ。
その間に私は脱いだおむつを片付けて、パジャマとおむつを洗面所に置いた。

「あとは私がやるから、けんちゃんはご飯食べてもう寝た方がいいよ、大丈夫だから」

そう言ったけど

「もうイライラして眠れねえよ。俺がやるから、お前は気にするな」

そう言って、義弟がお風呂から出るのを待っていた。
前日にもお風呂に入っているので

「お尻だけ洗えばいいからね。けんちゃんが待ってるから、さっさと洗って出てきてよ」

そう声をかけていたのだけど、シャワーを出したり止めたりが始まり
また主人がイラついて、お風呂のドアを開けて流し終わったのを確認して
お風呂から引っ張りだした。

主人に支えられて、移動中の義弟はスッポンポンの状態で私の前を通る時もなぜか笑顔。
お風呂から上がり、主人に文句を言われながら、身体を拭いてもらい
おむつからパジャマを着せてもらってる義弟も、なぜか笑顔で
主人や私が怒っていろいろ言ったけど、いつものように話は聞いておらず
目に付いた物や触った物のことなど、関係のないことをベラベラとしゃべり続けていた。
和室に移動させる時も、関係のないことをしゃべりながら、立ち止まってしまったり
移動させようとしても、手でつかまってしまうので、ブレーキがかかってしまい

「余計なことはいいんだよ!いちいちつかまるな!俺は明日も1時に起きるんだ。
 お前に付き合ってたら、寝る時間がなくなっちまうんだよ」

そう怒鳴られて、和室まで移動して、お布団に入れて布団をかけて

「もう寝ろよ!そこから動くなよな」

そう言って、和室の電気を消しリビングも消した。
その後もう1本ビールを飲み、10時過ぎてやっと眠りについた。

我が家の三女、コーギーのなつ。
抗がん治療をしている最中だけど、あまり良い経過とは言えない。
ここ数週間は、首のしこりが大きくなりすぎて呼吸や食べることにも影響が出ていた。
月曜日の抗がん治療が効いて、現在はしこりが小さくなり呼吸も食欲も戻ってきた。
水曜日には、その状態を維持するための抗がん治療をした。
なるべく穏やかに過ごさせてやりたいと思うけど、家の中ではつい大きな声を
出してしまうことが多く、そういう時はエリーと一緒に女中部屋に逃げ込んでは
こちらの様子をうかがったり、イラッとしてくると飛びついてダッコを要求して

「おかあさん、落ち着いて!大丈夫だから」

とでも言ってるかのように、私の肩をガッチリつかみ顔を乗せてくる。
だからなるべく声を荒げないようにと気を付けてはいるけど、ついやってしまう。
月曜日の夜、大便を漏らしたときも主人に

「けんちゃん、なつが見てる。なつのためにガマンして。なるべく声を荒げないで」

そう言ったら、主人も堪えてはいたけど、やっぱりついなのだ。
火曜日は集中して声かけをすると、やっぱりイラっとしてつい大きな声を出したり
怒鳴ったりしてしまうし、そういう自分もイヤになる。
見守りは必要だけど、最低限の声かけだけであまり義弟を見ないようにしていた。
夕食時間になり、またテレビを見ようとして移動しようとした義弟に

「テレビは見れません。もう夕食です。ちゃんと座布団に座ってください」

が、この座布団に座るのにも、最近はテーブルに対して斜めに座ることが多く
正面を向くように言っても、なんだか指差し確認だけして身体はまったく動かさない。

「指で確認だけしても、ちゃんと座れないの。身体を動かして、もっとテーブルに近づいて」

食べこぼしも多いために、なるべくテーブルに近づけて座るように何度も言うのだけど

「そうじゃなくて、こう座るの」

と結局介助となることが多い。
火曜日も同じように声かけをしたのだけど、なかなか出来ないため
また大きな声を荒げてしまったのだけど、義弟が急にニコニコっと笑ってこう言った。

「恵子ちゃん、俺嬉しいの」
「はい?」
「恵子ちゃんにこうしなさいって言われたりするのが、嬉しいんだ(笑顔)」
「だからさっきから、何度も言ってるでしょ」
「うん、だから嬉しいんだよ。言われないと俺、わからないから」
「わからないとか言ってないで、自分で考えなさいよ。考えないからわからないんでしょ」
「そうだけど〜、言われるのが嬉しいんだよ(笑顔)」

なるほどね、笑顔の理由はこういうことか・・・
主人や私が、怒っていようと怒鳴っていようと、イライラしてようと関係なく
自分に視線が集中し、構ってもらっているという意識になるんだな。
私たちが、イライラしながら声をかけ、必死の思いで介助をしてるのも
義弟にとっては、自分のために何かをしてもらえるという感覚なのかもしれない。
子供返りしてるのだから、子供のそれと同じなんだろうと思う。

主人が、私が、汗だくつゆだく状態で、階段を降ろした時も笑顔だったのも
主人や私が、怒っているときに突然笑顔になるのも、そんな理由かもしれない。
もちろん、義弟の世界に入り込んで、一人笑顔でブツブツ言ってるときもあるけどね。

こちらから見れば、バカにしてるようなこの笑顔も
元々が甘えっ子ちゃんだった義弟だから、どんな理由でも
自分に視線が向き、自分のために何かしてくれると言う状況が
心地良いのかもしれないな。。。

でもやらなきゃいけないことでも、自分のやりたくないことを、何度もやれと言われると
自分はもう眠りたいし、動きたくないと思ってるのだから
義弟の方も、声を荒げて屁理屈を言うということになるのかな。

いろいろ考えて、こうだろうと想像はするけど
結局は、私自身の行動や言動を、そうそう変える事が出来ない。
このところ、毎日うんざりして疲れ切ってしまう。

こうやってパソコンに向かう時間があるだけ、まだ良いってことなのかもしれないけど。。。


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プロフィール

Author:恵子

2000年3月
『悪性脳腫瘍』と診断され
手術をしても余命2年と言われた義弟。

義弟が闘病生活に入ってからの
過去の出来事。。。
離婚後、我が家に来てからの出来事。
悪性脳腫瘍の手術後5年が過ぎて
高次脳機能障害と言われ
自己流でのリハビリ始めて3年が過ぎ
突然、急激に状態悪化。
放射線治療の後遺症で
脳萎縮が始まり、認知症と診断され
2008年7月、介護保険を申請。
半年間で、要介護3から要介護5へ。
介護療養型医療施設に入所して
7ヶ月が過ぎて・・・
2009年8月25日午前10時59分
義弟はこの世を去りました。
この日までの書き込みは
義弟の命の軌跡です。。。

そして、私の父はパーキンソン症候群。
一人暮らしの父も認知症初期かも?
これからは、父の看護日記になります。



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